我々の体には、細菌やウイルスなどの外界から侵入してくる異物から身を守るための免疫システムが備わっており、その中心的役割を果たしているのが、抗体を産生して異物を排除するB細胞です。特に異物が侵入した際に作られる「記憶B細胞」と呼ばれるB細胞集団は、一度出会ったことのある異物に対して抗体を大量に素早く産生することから、感染防御に必須であることが明らかにされています。
また、近年、B細胞は抗体を産生するだけでなく、抑制性サイトカインの一つである「IL-10」を産生して自己免疫疾患を抑制することが報告されて注目を浴びています。
このようにB細胞は生体を維持するために重要な役割を担っていますが、B細胞の機能についてはまだ明らかにされていないことが多く残されています。そこで、私たちの研究室では、B細胞を介して人為的に免疫システムを制御することを目的として、次の問題点を明らかにしようと考えて研究を進めています。
Questions
・記憶B細胞がどのようにして大量に素早く抗体を産生しているのか?
・IL-10産生B細胞がどのようなメカニズムで自己免疫疾患を抑制しているのか?